ここに記載したのは、エクセルファンクラブの編集ラウンジに投稿した
『期間/年齢』に関するスレッド
で、最後に『まとめ』として私が記載した内容です。
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1.年齢 ( DATEDIFによる年齢計算 )
『年齢計算ニ関スル法律 1項 および 民法140条』より、年齢は出生日の0時より2.早生まれ (2004/12/26 解説を判り易く直しました)
起算する(期間初日より起算する場合は、その起算点は0時である)。
『年齢計算ニ関スル法律 2項 および 民法141条』より、年齢は誕生日の「前日24時」
をもって加齢される。法律上その加齢される日付の扱いは24時の側である「誕生日前
日」であり、0時側の「誕生日」ではない。
「前日の終了をもって、その期間は満了する」から、例えば【19才】という期間は誕生日
の前日24時で終わり、この瞬間に【20才】となり「20才の期間」が始まる。
加齢される時点および、その日付の扱いについては『最高裁判例 S54.4.19』で
明治四五年四月一日生まれの者が満六○歳に達するのは右の
出生日を起算日とし、六○年目のこれに応当する日の前日の終
時点である昭和四七年三月三一日午後一二時であるが(以下略)
という風に解釈されている。
上記の解釈により、4月1日生まれの子供が「満6才」に達するのは、「3月31日」の24時3.年齢を基準にした期間
です。4月1日生まれの子供が早生まれとして1学年[上]となる根拠がここにあるのです
が、その前に「子供を小学校へ入学させる時期」を定めた法律として
『 学校教育法第22条第1項』
保護者の小学校の就学義務を子どもの満6歳に達した翌日以後
における最初の学年の初めから満12歳に達した日の属する学
年の終りまでとする。
というものがあります。学年は「4月1日」から始まりますので、上記の法律をもう少し判り
易く表現すると
「満6歳に達した日」の翌日から見て最初に訪れる「4月1日」に
小学1年生として入学させなさい。
となります。満6歳に達する日付(法律上の加齢される日付)は前述の通り、
4月1日生まれ → 3月31日
4月2日生まれ → 4月 1日
です。そうすると「その翌日から見て最初に訪れる4月1日」とは
4月1日生まれ → 3月31日 → その年の4月1日(翌日が4月1日なので滑り込みセーフ)
4月2日生まれ → 4月 1日 → 翌年の4月1日
(翌日が4月2日で過ぎている為に丸1年待つ羽目に)
になります。この各々の「年」が小学校に入学する年になります。こういった理由により、
4月1日生まれは4月2日生まれより1学年早く、3月31日生まれの子供と同学年になり
ます。
満年齢を呼称する際、社会一般的には「誕生日の今日から満X才」と呼び習わしてい
るが、法解釈上は「誕生日前日(の24時)」である。
年齢を基準にした期間についても、対象となる法律によって様々な捉え方をしている。
したがって、年齢を基準にした期間(年齢に関係ない期間でも同様だが)を取り扱う場
合には、その法律/当事者間での取り決めなどを充分に検討する必要がある。
なお、条文や規則によって、年齢を起算点として示している場合と、満了点として示して
いる場合や、「満X才以上」「満X才に達しない」「満X才に達した」などと、様々な表現が
されているので、これにも注意が必要です。
起算の側から見た時
(1) 一般的解釈で「誕生日(の0時)」から起算する
(2) 厳密な法解釈の通りに「誕生日前日の24時」から起算する
(3) 法律上の加齢される日(すなわち誕生日前日)の0時に遡って起算する
(4) ‥‥‥
満了の側から見た時
(4) 法解釈の通りに「誕生日前日の24時」に達した時に加齢する。
例えば「20回目の誕生日前日の23時59分までは19才、24時の時点で20才」
(5) 法律上の加齢される日(すなわち誕生日前日)の0時に遡って、その年齢に達
したものとして扱う。
(6) ‥‥‥
(3)と(5)は同じようなもんですけど、一応分けてみました‥‥‥
(3) に該当する例としては、公職選挙法に基ずく「選挙権の取得」という期間の定義が
あります。これには『S55.8.26 最高裁判決』があり、
公職選挙法第9条の「年齢満20年以上」とは選挙権取得の開始時期を
定めるものであり、満20年に達する日をもって選挙権取得の始期とす
る趣旨であるとみられる。よって満20年に達する日とは、誕生日(6/26)
の前日(6/25)午後12時を含む同日(6/25)午前0時が開始日となるの
で、以降全てが選挙権取得の日に当たるものと解される。
となっています。これによって、投票日が誕生日前日だと、投票する時点(9時〜6時?)
では19才なのに、投票する事ができるというケースが出てきます。
(補) 2015/6/17 追記
平成28年(2016年)より、選挙権取得年齢が「満20歳以上」から「満18歳以上」に改正されました。
今後は、上記文章内の「満20年」を「満18年」、「19才なのに」を「17才なのに」と読み替えてください。
(5) に該当する例としては、1.で引用した『最高裁判例 S54.4.19』が「年度末の3月
31日に満60歳に達した職員に対して退職勧奨を行なった」事への訴訟に対しての
判決で、
明治四五年四月一日生まれの者が満六○歳に達するのは右の出生日を
起算日とし、六○年目のこれに応当する日の前日の終了時点である昭和
四七年三月三一日午後一二時であるが、日を単位とする計算の場合には、
右単位の始点から終了点までを一日と数えるべきであるから、右終了時点を
含む昭和四七年三月三一日が勧奨退職に関して右の者が満六○歳に達す
る日である。
となっています。
(補足 : 年齢計算とDATEDIF関数)
法解釈上では「出生日〜誕生日前日(の24時)」で『満X才』ですが、DATEDIF
関数などを使うと、「出生日〜誕生日」というパラメータで『満X才』という結果が
得られます。これはDATEDIF関数を始めとするエクセルの日付関数では『初日
不算入』の条件で算出している為です。
したがって、
社会一般的にいう「誕生日の今日から満X才」という見方での年齢は
【出生日〜調べる日付】という算出で行なえます。
=DATEDIF(出生日, 調べる日付, "Y")
一方、
法解釈上の「誕生日前日で満X才」という見方による年齢の場合には
【出生日〜[調べる日付+1] 】という算出で行います。
=DATEDIF(出生日, 調べる日付 + 1, "Y")
これは、DATEDIFが初日不算入でしか算出しない為に除かれている
初日の1日分を、『翌日に出る結果を今日求める』
という考え方で補うものです。
どちらで計算するかは、その年齢を扱う業務の取決めを調べて決めてください。(2006/5/17 追記)
(2月29日生まれの誕生日は?)
「2月29日生まれ」の誕生日はどうなるの?4年に一度?という話がありますが、
加齢されるのが『誕生日前日の24時』という定めにより、「2月29日生まれ」の人
が歳を重ねるのは【2月28日の24時】です。そして2月28日は毎年あります。
「それでは3月1日生まれの人の方がおかしくなるのでは?」と一瞬考えますが、
『誕生日前日〜』ですから『平年では2月28日/閏年では2月29日の24時』とな
るので、やはり毎年あります。
民法 総則 第6章 期間 (現代語訳) 第139条 期間を時・分又は秒で定めたときは、即時から起算する。 第140条 期間を日・週・月又は年で定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前0時から始まるときは、この限りでない。 第141条 期間を日・週・月又は年で定めたときは、期間末日の終了で期間が満了する。 第142条 期間の末日が大祭日、日曜日その他の休日に当たる場合、その日に取引を行なう慣習がある場合を除いて、期間は、その翌日をもって満了する。 第143条 週、月または年によって期間を定めるときは、暦(太陽暦)に従って期間を計算する。 2 週、月または年の始めより期間を起算する場合を除き、その期間は、最後の週、月または年の起算日に相当する日の前日で満了する。ただし、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
年齢計算ニ関スル法律(明治35年12月22日 施行) 1 年齢は出生の日より起算する。 2 年齢の計算には民法第143条の規定を準用する。
【 参考サイト 】
「秋田市選挙管理委員会」の『選挙不思議発見!』
【エッ!19才なのに投票!? 〜年齢計算の不思議〜】
(補) 2015/6/17 追記
平成28年(2016年)より、選挙権取得年齢が「満20歳以上」から「満18歳以上」に改正されました。
今後は、上記の「19才なのに」を「17才なのに」と読み替えてください。
「ヨミウリ・オンライン」の『何でもクエスチョン』
【「早生まれ」4月1日含むのはなぜ?】
(『何でもクエスチョン』ページ内の【記事一覧】から検索してください)
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角田 桂一 Mail:addinbox@h4.dion.ne.jp CopyRight(C) 2001 Allrights Reserved. |